節水シャワーヘッドの原理とは・・・
浴室のシャワーヘッドを節水タイプのものに交換しました。
以下の記事にその時のことは書いてあります。
シャワーヘッドを節水タイプに交換しました。 - おっさんトモの、徒然日記
さて、今回は、理系男子のブログです。一応、熱流体系解析者らしい記事も上げておきます(笑)
節水シャワーヘッドとか勢いUPシャワーヘッドというものが売られていますが、これはどのような原理なのでしょう。
この、節水シャワーヘッドも、勢いUPシャワーヘッドも、原理的には同じものです。
簡単に言うと、ホースの口を指でつぶして勢いを増加させるという事と同じです。
それを、以下でもう少し理系っぽく説明してみます。
まず、水道管には、水を出すために圧力がかかっています。圧力というのは日常でもよく耳にしますが、壁面を押す力のことです。水道管には、常にこのような力がかかっています。この力がなければ、水は水道から出てくる事ができません。水道の作業をする際に、元栓を締めるという事がありますが、あれは、圧力を元栓のところで断ってしまおうというものです。そのため、水道の蛇口をひねっても水は出なくなります。水は蛇口まで来ているのに、それを押し出す力がなくなるので、水が出なくなるわけです。
水道では、このように、常に壁面を押す力がかかっていますが、蛇口をひねって水を流してやると、これまで壁面を押していた力が、水が流れる力に変換されます。
この変換のときに、水のもつエネルギーをどのように水が動くエネルギーに変換してやるか、が重要になってきます。
今回のようなシャワーヘッドを作りたい場合は、基本的には、流速が速くなるような設計をします。たとえば、シャワーヘッドの中でだんだん流路を狭くして、流速を加速させてやる。そして、穴の数を減らし、水が通る断面積を小さくする。という事をします。
このように、水がもつエネルギーを水が動くエネルギーに変換するときは、損失が伴います。損失というのは、つまりは水が流れる上での抵抗になるという事です。水道管を押しているエネルギーは、一部が水が流れるためのエネルギーに変換され、一部が変換した際の損失として失われます。そのため、水の勢いは増加しても、水の流量は少なくなるという訳です。
たとえば、穴の数が半分になったら、出口部分での通水断面積は半分になります。通水断面積が半分になったという事は、同じ流量を流すには、倍の流速が必要になります。しかし、損失があるので、流速は倍ではなく、1.5倍程度となったとします。すると、流速が1.5倍になったのに、もとの流量の0.75倍しか流量がありません。すると、水道代が25%少なくなるということです。
ここまでの説明でわかっていただけると思いますが、節水効果が非常に大きいシャワーヘッドは、それだけ損失も大きくなる傾向があるので、穴の数が減っただけで水の勢いがそれほど増加しない場合もあります。
水道料金は、水がもつエネルギーの使用量によって決まるわけではなく、水を使用した量によって決まっています。シャワーヘッドで損失を大きくしても、その損失分には料金を払う必要はないのです。
水が持つエネルギーを上手に使用して、快適に使用できる範囲内で、水の使用量を少なくすることは賢い選択肢だと思います。